Google Cloud の生成 AI で通信事業の変革を実現
Google Cloud Japan Team
※この投稿は米国時間 2023 年 9 月 21 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。
生成 AI は、通信サービス プロバイダ(CSP)におけるクラウド変革の次のフェーズを牽引しています。まだ黎明期にあるものの、通信分野での生成 AI の可能性の実現に向けて大きく前進しています。Google Cloud は、基盤モデルの機能の拡大と強化を図り、モデル開発を簡素化することで生成 AI の使用を民主化し、生成 AI の応答の信頼性を高め、エンタープライズ システムとのインテグレーションに取り組んできました。
同時に、CSP 各社は創造的なアプリケーションを幅広く開発し、場合によっては、こうしたアプリケーションを本番環境で使用し始めています。このブログ投稿では、Google Cloud の生成 AI における主要な発展のいくつかと、それらが CSP のお客様にもたらすメリットについて説明するとともに、一般的な生成 AI アプリケーションのアーキテクチャの概要についてご紹介します。
生成 AI を中心としたエンタープライズ発展のさまざまなニーズに応えるポートフォリオ
Google Cloud は、テキスト、コード、画像を処理し、生成するための幅広い基盤モデルを提供しています。


AI 担当者は API や Generative AI Studio を通じてモデルを操作し、たとえば使用するモデルやモデルに送信されるテキスト セグメントの長さなどを制御できます。Vertex AI は、いくつかのインテグレーションや構成のタスクを自動化することで、生成 AI の開発を可能にします。これは、AI を使用した経験がない開発者の皆様にもご利用いただけます。Google Cloud の Vertex AI Search は、開発者向けの長いドキュメントを処理できるため、価値の高いインテリジェントなアプリの開発とデプロイを大幅に短縮できます。最近のすべての進展については、Next ’23 の生成 AI のセッションをご覧ください。
CSP における生成 AI のユースケースの動向
生成 AI に取り組むお客様と提携するなかで、次のような分野で多数の CSP 固有のアプリケーションの開発が進められているのを見ています。
- ネットワーク運用
- 従業員エクスペリエンス
- 顧客維持とユーザーあたりの平均収益額(ARPU)の増加
CSP 各社は日常業務に急速に生成 AI をデプロイしており、基盤モデルや Vertex AI Search and Conversation などのプロダクトを使用して、大規模なドキュメントのコーパスから情報を抽出することで、テキスト内の感情を要約、分類、特定したり、メールやウェブ コンテンツを生成したり、質問に回答したりしています。このようなソリューションを用いて、従業員の生産性と創造性を向上させながら、より高い顧客エンゲージメントと顧客満足度を実現しています。
それでは、3 つの CSP アプリケーションを取り上げ、そのアーキテクチャの概要を他のアプリケーションに適用できるかを探ってみましょう。
Vertex AI Search を使用したネットワーク停止の根本原因分析
ネットワーク障害の根本原因を分析するには、複数のログ、ベンダーのドキュメント、過去のトラブル チケット、その解決策を調べる必要があります。Vertex AI Search を使用すると、CSP のお客様は構造化データと非構造化データの両方から関連情報を抽出できる chatbot を構築し、考えられる原因を人間のエンジニアが特定する時間を大幅に短縮できます。


上の実装アーキテクチャは、このアプリケーションのデプロイがシンプルであることを表しています。数回クリックするだけで、何千ものドキュメントが数時間で読み込まれ、インデックス登録され、chatbot はすぐにテストできるよう待機しています。
多くの CSP のお客様が上のアーキテクチャを使用し、さまざまな分野で chatbot を開発しています。たとえば、Vodafone は Vertex AI Search を実験的に使用しています。Vodafone Voice and Roaming Services は、世界中の通信事業者と交わした 10,000 を超える契約書をさまざまな形式で保有していますが、このドキュメント リポジトリの検索は多くの場合、従業員にとって時間のかかる作業です。Vodafone Voice and Roaming Services の CEO、Sherif Bakir 氏は Vodafone での Vertex AI Search の使用について次のように語っています。「契約書を安全かつ迅速に検索するインテリジェントなアシスタントを構築しています。生成 AI を使用して、従来なら時間のかかっていたプロセスを加速し、生産性と運用効率を向上させています。」
情報と自動化で従業員を支援
Google Cloud の Contact Center AI(CCAI)は、世界中の CSP のお客様がコールセンターの費用を削減しつつ、顧客満足度と効率を高めるのに役立っています。CCAI の Dialogflow CX は、ユーザーと仮想エージェント間の複雑な対話フローを開発するためのツールです。CCAI Agent Assist は、特定の企業ニーズに合わせて微調整できるスマート リプライ機能でターンごとに人間のエージェントに候補を提案できます。また、音声やチャットのセッションのカスタマイズ可能な要約も提供し、感情分析によって発信者の感情的な意図を判断することができます。
Vertex AI Search and Conversation と、Dialogflow 内の生成 AI 機能を活用できるようになったため、CSP のお客様は非構造化 / 構造化情報へのアクセスを含むフローを開発したり、Webhook を使用してメンテナンスの時間枠や技術者の訪問をスケジュールするなどのアクションをトリガーしたりすることが可能になります。また、自然言語仕様から複雑な Dialogflow プロセスを生成することもできます。
このような継続的に強化される機能は、CSP のお客様が優れたカスタマー サポートを提供する方法を変革しつつあります。たとえば、Bell でデータ エンジニアリングおよび AI 担当バイス プレジデントを務める Michel Richer 氏は次のように語っています。「Bell は、パーソナライズ、マーケティング、カスタマー サービスの分野で生成 AI とその応用を探求しています。当社は、過去数年間の会話型分析を使用した成果をベースに構築を重ねており、その際 CCAI はカスタマー エクスペリエンスを改善するための主要な原動力となっています。Bell は、生成 AI の進化が変革を引き起こすことを固く信じており、この分野で Google Cloud とともに行うイノベーションやパートナーシップに期待しています。」
Google Telecom Subscriber Insights、PaLM、Imagen の使用による顧客の獲得と維持、ARPU の増加
Google Cloud の Telecom Subscriber Insights は、さまざまなデータソースから顧客情報を抽出し、CSP が ARPU を増加させるとともに、既存顧客にとって有益なプロダクトやサービスを特定できるようにします。また、Vertex AI を統合することで、chatbot がお客様と自然な対話でやりとりしながら、販売エクスペリエンスとターゲットを絞った提案を向上させることができます。このような、お客様に対するターゲットを絞った提案は、顧客エンゲージメントを高め、チャーンを減らすことにもつながります。
Google Cloud とパートナーは、CSP のお客様がスマートな顧客データ プラットフォームからこのようなメリットが得られるよう支援してきました。CSP のお客様は、シンプルで効果的なプロンプトを使用して、特定の販売キャンペーン(たとえば、5G ベースの家庭用インターネット サービスの提供)のためのテキスト、画像、動画を使用したリッチ コンテンツを数分で生成することで、このような提案のスピードと効果を大幅に向上させることができます。また、特定のお客様に対するメッセージは、所在地、過去の購買パターン、現在の感情に関する分析情報に基づいてカスタマイズできます。
Imagen は、ユーザーのテキスト プロンプトからさまざまなスタイル(写真のようにリアルなスタイルや、水彩画スタイルなど)で高解像度の画像を作成できます。また、スタイル チューニングと呼ばれる Imagen の新しいチューニング方法により、CSP は特定のブランド ガイドラインに沿った画像を作成したり、少数の参照画像を使い生成された画像に独自のプロダクトやデザインを含めたりすることができます。同様の少数ショットのテキスト モデル チューニングを使えば、CSP の企業スタイルに合わせてテキストをカスタマイズできます。さらに、Google DeepMind SynthID は、透かしをピクセル画像に直接埋め込める最先端のテクノロジーを採用して、人間の目には見えないようにし、改ざんを困難にしています。
リスクを管理しながらメリットを享受
Google Cloud が現在のプロダクト ポートフォリオで提供するエンタープライズ対応の生成 AI 機能を紹介してきましたが、CSP のお客様がこれらの機能を使用して価値の高いさまざまなユースケースを開発されるのを今後も楽しみにしています。これらすべてを支える基盤として、Google Cloud は、生成 AI の精度、プライバシーとセキュリティ、法規制遵守、知的財産侵害のリスクに対処し、生成 AI テクノロジーを採用し実装していくのに伴い、強固なガードレールを導入してまいります。
皆様が生成 AI の取り組みを続けるにあたって、このブログ記事をお役立ていただければ幸いです。Vertex AI Search and Conversation、Telecom Subscriber Insights のほか、多数の基盤モデルがすでに一般提供されており、Google Cloud のすべてのお客様にご利用いただけます。また、Google Cloud が CSP のお客様と連携してどのようにクラウド変革を生み出しているかについて詳しくは、こちらをご覧ください。
-Telco Cloud、業界ソリューション マネージャー Krishnamurthy Srinivasan
-通信オーケストレーション、分析および自動化担当エンジニアリング ディレクター Mazin Gilbert

