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AI & 機械学習

学生の成功を支援するためのデータ分析と、仮想エージェントを使用したキャンパスの取り組み

2020年6月25日
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Google Cloud Japan Team

※この投稿は米国時間 2020 年 6 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

学生を成功に導くのは、良い成績だけにとどまりません。講師が学生を指導する時間を増やす、学生自らが進行状況を管理、改善できるようにする、受講クラスの登録などのプロセスをより効率的なものにするといったことも関係します。Google Cloud では高等教育機関と連携し、このような課題を始めとしたさまざまな対応を支援しています。

このブログ投稿では、こうした教育機関が Google の AI ツールや他のテクノロジーを使用してより多くの学生をより効果的にサポートし、学生の成功を後押しできるようにしている方法をいくつかご紹介します。

お決まりの質問にすばやく回答する

高い評価を受けているペンシルベニア州立大学のオンライン キャンパス、Penn State World Campus に勤務するアカデミック アドバイザーは、専攻の変更やクラスに再登録する方法など、同じ質問に何度も答えるのにかなりの時間を費やしているのに気付きました。個々の質問への対応は長い場合で 30 分もかかります。学生への情報提供をより迅速に行い、アドバイザーの時間を解放して、学生のより複雑な問題への対処に当たらせるために、同大学は Quantiphi と Google Cloud を使用して、学生からの決まりきった質問にすばやく回答するソリューションを開発しました。

このソリューションは Google の自然言語処理ツールである Dialogflow を使用し、学生がアドバイザーに送る質問を分析して、ペンシルバニア州立大学の安全な学生用データベースから関連情報を収集します。すぐに仮想アシスタントがアドバイザーに回答を返信して、その内容が生徒に伝えられます。Penn State World Campus でアカデミック アドバイジングおよび障がい学生支援のディレクターを務める Dawn Coder 氏は、次のように述べています。「現在のスタッフだけでもっと多くの作業をこなせるようになるでしょう。」

学生が必要としているときに情報を提供する

Penn State では、クラウドと AI データ分析ツールを使用することで学生にサポートをより迅速に提供できるようになりました。これにより、アカデミック アドバイザーやサポートチームの時間を解放して、学生に 1 対 1 のサポートをより多く提供し、学生への対応を改善しています。また、これらのツールには別の利点もあります。学生がいつでも情報を取得できるということです。これは、従来とは異なる時間のスケジュールで課題を完了しなくてはならない学生にとって、とりわけ重要といえるでしょう。

学生が必要な情報を必要なときに入手できるようにするために、オンライン大学のストレイヤー大学(米国の東部と南部に実際のキャンパスを構える)では、2017 年に Irving の運用を開始しました。Dialogflow に基づいて構築された仮想アシスタントの Irving は、学生の質問をトピック別に分類し、キャンパスのデータベースから回答を検索します。

ある学生は次のように述べています。「私は家族の世話などで多忙を極めていますが、24 時間 365 日いつでも Irving にアクセスできます。たとえ午前 2 時に研究論文に取り掛かっている最中でも、画面の右下をクリックすると Irving がすぐに表示されるので、とても便利です。」

2020 年 1 月に実施したストレイヤーの調査によると、学生の 89% が Irving によって問題を簡単に解決できたと回答しています。また、Irving が自動チャットを通じて一般的な質問に答えることで、ストレイヤーのスタッフの時間が解放され、より複雑な質問やニーズを持つ学生に対応できる時間が増えています。

教育と学習のベスト プラクティスに関するデータを収集する

高等教育機関が直面する大きな教育課題の一つとして、学生の学習を後押しする習慣が何であるかを突き止めることが挙げられます。インディアナ大学(IU)の Pervasive Technology Institute で eLearning Research and Practice Laboratory のディレクターを務める Ben Motz 氏は、この長年の問題を明らかにするにあたりデータ分析に目を向けました。Unizin は、データ統合、学習分析、デジタル コンテンツに焦点を当てた非営利団体であり、IU は設立メンバーの一校でもあります。Unizin は、Google Cloud を基に構築された教育ツールによって生成されたデータの統合およびウェアハウジング ソリューションの Unizin Data Platform(UDP)を作成しました。これは、IU などのメンバー機関が 800,000 人の学生からのデータを統一された構造で共有し分析するのに役立ちます。

Motz 氏は、大半の教師や研究者が、どんな教育戦略が最も効果的であるかについて、ローカルデータしか持っていないことに気付きました。裏付けは、ほとんどの場合、ほんの数クラスからのものに限定されてしまいます。そこで、同氏と同僚は ManyClasses を作成しました。これは、Unizin のメンバー機関の教師を採用して、クラス、教材、学生を対象とした、はるかに大規模かつ多様なサンプルで教育方法をテストするものです。

まずは、「学生に課題についてフィードバックをする最適なタイミングはいつか?」という簡単な問いから始めました。一般的に、教師はできるだけ早くテストの点数を返すべきとされていますが、最近の調査では、テスト結果の情報の提供を遅らせることにメリットがある可能性があることが示唆されています。ManyClasses イニシアチブでは、学習活動に関する Unizin の広範なデータを使用して、断片的なものではなく、幅広い教室での実践を通してフィードバックのタイミングが及ぼす影響を調査できます。

結果はまだ集計中ですが、Motz 氏は Unizin による今後の作業の見通しに励まされています。同氏は次のように述べています。「この共同の取り組みは、すばらしいものです。家庭教育の権利とプライバシーに関する法律(FERPA)の遵守など、すでに多くの問題を把握するうえで本当に役立っています。これにより、セキュリティとプライバシーの対応が大幅に簡単になります。」

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- By Google Cloud 高等教育機関担当 Steven Butschi

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