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AI & 機械学習

Siemens が「象の切り分け」(細分化)により産業用ソフトウェア開発のエージェント ワークフローを推進

2026年6月25日
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Anant Nawalgaria

Group AI Product Manager & Engineer, Google

Tomasz Świtoń

Senior AI Engineer, Google

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※この投稿は米国時間 2026 年 6 月 17 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Siemens のようなテクノロジー企業では、ソフトウェアは世界中の工場、エネルギー網、輸送ネットワークを結びつける、人体で言えば神経系のような役割を果たしています。

産業用 AI、産業用ソフトウェア、産業オートメーションのグローバル リーダーである Siemens には、工場やプロセスの自動化、エネルギー インフラストラクチャ、インテリジェントな輸送など、数十年にわたるドメインの専門知識の蓄積があります。これは、既製の AI ソリューションでは再現できないものです。しかし、イノベーションにあたってはレガシーコードが重い足かせとなっています。

10 年以上にわたって開発された数億行に及ぶコードベースを持つ Siemens は、標準的な AI ツールでは解決できない課題に直面していました。それは、このコードと、その上で実行されるアプリケーションを理解し、モダナイズすることです。産業グレードのソフトウェアの規模と複雑さには、根本的に異なるアプローチが必要です。既存のコーディング アシスタントには、複雑な多層構造の産業用コードベースをナビゲートするために必要なコンテキストの深さが欠けており、このギャップを埋める必要がありました。

この問題を解決するために、Siemens と Google Cloud は、ソフトウェア開発ライフサイクルを自動化する AI システムである Knowledge Fabricを作成しました。このエージェントは、Spanner Graph のナレッジグラフ、Google Agent Development Kit、Gemini API、Agent Platform、Gemini CLI、Anthropic Claude Code を使用して構築されました。既存のフロンティアをウェブベースのインターフェースに移行するパイロット版では、Knowledge Fabric によって実装作業が軽減され、エンジニアはシステムとの完全な互換性を維持しながら、顧客のイノベーションに集中できるようになりました。

「ソフトウェア エコシステム全体を、カスタム ナレッジグラフを備えたインテリジェントなエージェント システムに取り込むことで、開発者が開発時間を最適化できるよう支援するだけでなく、自律エージェントが過去を推論して未来を構築できるようにします。これにより、エンジニアは反復作業から解放され、より価値の高い問題解決に集中できるようになります」と、Siemens のプロダクト クリエーション エクセレンス担当シニア バイス プレジデントである Franz Menzl 氏は述べています。

課題: 産業用ソフトウェアの複雑さ

大規模な産業グレードのソフトウェア システムのモダナイゼーションは、飛行機を飛行中に改修するようなものだとよく言われます。Siemens が直面した課題には次の 4 つの側面がありました。

  1. 規模: リポジトリは膨大で、標準的な大規模言語モデルのコンテキスト ウィンドウをはるかに超えています。

  2. 断片化: 重要な知識が、コード、Jira チケット、Confluence ページ、2000 年代初頭にスキャンされた PDF マニュアルに散在していました。

  3. 複雑さ: 特定のコード行が 10 年前の機能要件定義書のどこに該当するのか追跡することは、手作業や従来のツールでは効率的に対処できない課題となっていました。これは業界全体が共通して抱えている現実です。

  4. 責任: システムは、多くの場合 15~20 年以上にわたる運用期間にわたって、厳格な品質、コンプライアンス、ライフサイクルの要件を遵守する必要があります。そのため、AI によって生成された出力は、説明可能で、追跡可能で、検証可能でなければなりません。ハルシネーションや検証されていない変更は、非効率的であるだけでなく、運用上も許容できません。

「標準の RAG(検索拡張生成)では不十分であることがわかりました。コードは単なるテキストではなく、固有の構造を持っています。クラスはファイルに属し、ファイルはモジュールに属します。これをベクトル データベースにフラット化すると、コードベースの要素間の関係性の表現が失われてしまいます」と、Google Cloud のテクニカルリードである Agata Gołębiowska は言います。

解決策: ドメインを認識する Knowledge Fabric

この広大なソフトウェア環境を AI 主導のワークフローでナビゲートできるようにするため、チームは Knowledge Fabric エージェントを構築しました。このエージェントは、キーワードの一致だけでなく、アセット間の関係を「理解」します。

Spanner Graph を使用してコードベースの固有の構造をモデル化し、あらゆる形式のドキュメントに対しても同様に厳密なアプローチを適用しています。これらのドメイン間の接続をマッピングすることで、特定のコード スニペットを設計ドキュメントの要件に直接関連付けることができます。次にエージェントは、ツールを使用して Graph Query Language(GQL) で構造をクエリし、このグラフを走査します。

しかし、GQL はその一部にすぎません。セマンティックな理解を可能にするために、Spanner の近似最近傍(ANN)アルゴリズムを使用してすべてのノードのエンベディングを生成し、コードベース全体で効率的なベクトル検索を実行します。最後に、エージェントに全文検索機能を提供します。この機能は GQL と組み合わせて、ノードとエッジを正確に特定できます。

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これら 3 つの方法を組み合わせることで、LLM エージェントは「Axis Control Panel のロジックを変更した場合、どの関数を更新する必要がありますか?」といった複雑なクエリに回答できます。システムは、キーワードと意味的類似性を考慮してグラフを走査し、依存関係を特定して関連ドキュメントを取得し、正確な影響分析を提示します。

この正確なコンテキストにより、コーディング エージェントは有効で、使用可能で、保守可能な実装を生成できます。

「象の切り分け」: エージェント ワークフロー

このプロジェクトから得られた重要な知見は、AI エージェントは大規模で曖昧なタスクを苦手としているということです。成功を収めるために、チームは「象の切り分け」という設計パターンを採用しました。

このシステムは、「このモジュールをリファクタリングする」のような広範なリクエストを、より管理しやすい小さなタスクに分割します。各タスクは、Google Agent Development Kit(ADK)で構築された専門のエージェントによって処理されます。

  • 検索エージェント: 詳細な調査のスペシャリストとして機能します。ツールを使用してコードグラフを探索し、エージェント検索でドキュメントと調査結果を相互参照します。

  • ユーザー ストーリー エージェント: プロダクト オーナーにインタビューして要件を収集し、既存のシステム コンテキストにリンクされた受け入れ基準を含む詳細なユーザー ストーリーの下書きを作成します。

  • アーキテクチャの影響エージェント: グラフに対して提案された変更を分析し、コード行の記述を開始する前に副作用を予測します。

  • タスク分解エージェント: アーキテクチャの影響エージェントからの分析結果を使用し、作業を管理しやすい小さなタスクに分解します。各タスクには、特定の変更に関連するすべてのコンテキストが含まれます。

  • コーディング エージェント: 特定のタスクで説明されている変更を実装します。コンテキストや事前分析なしにこのステップに進んでも、実用可能なコードは生成されません。

このシステムでは、すべてのステップで人間が関与するため、本番環境レベルの信頼性の高い成果が保証され、エンジニアはルーチン的な実装作業から解放され、有意義な作業に集中できます。

Siemens のプロジェクト リードである Alexander Lomakin 氏は次のように述べています。「象の切り分け、つまり、複雑なリファクタリング ジョブを、エージェントが主導する小さなタスクに分割することで、生産性が大幅に向上しました。AI の複雑な構造をナビゲートするために必要なロードマップを与えたということです。」

パイロット運用の結果: エンジニアリングの迅速化と効率化を実現

デベロッパーはほぼ即座にその成果を確認できました。

新機能の依存関係を分析するには、以前はシニア エンジニアが数日かけてコードベースと従来のドキュメントを調べる必要がありました。Knowledge Fabric を使用すると、同じ作業にかかる時間が大幅に短縮されます。

最近の試験運用では、従来のコントロール パネルを最新のウェブベースのインターフェースに移行する際に、Knowledge Fabric によってシステムの完全性と産業品質基準を維持しながら、コーディング作業全体が削減されました。

エンジニアは、反復作業に費やす時間を減らし、顧客価値の創出により多くの時間を費やせるようになりました。

使ってみる

Knowledge Fabric は、生成 AI がボイラープレート コードの作成だけでなく、ビジネスが最も依存するレガシー システムのモダナイゼーションにも役立つことを示しています。

グラフベースのエージェントを構築してレガシーをモダナイズする方法の詳細については、以下をご覧ください。

- Google、グループ プロダクト マネージャー兼 AI エンジニア、Anant Nawalgaria

- Google、スタッフ ソフトウェア エンジニア、Tomasz Świtoń

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