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AI & 機械学習

Formula E の AI 方程式: 新しい Driver Agent が次世代のレーサーを後押し

2025年4月1日
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Olly Grundy

Group Product Marketing Manager, UKI

Sam Weeks

AI/ML Customer Engineer, UKI, Google Cloud

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※この投稿は米国時間 2025 年 3 月 26 日に、Google Cloud blog に投稿されたものの抄訳です。

Formula E は、その性質上、常にイノベーションを推進し、次世代の電動自動車をレース サーキットに導入してきました。それと同様に重要な使命は、より多くの人々がこれらの新しいテクノロジーを利用できるようにすることです。

Formula E は Google Cloud と連携し、多くのイノベーションの技術基盤を構築してきました。現在はそのコラボレーションが、レースの機会の均等化を図ること、トラックにさらなる興奮をもたらすこと、そして何よりも、次世代のレーシング人材を鼓舞して力づけることにまで広がっています。

すべてのドライバーが同じレベルのデータや分析にアクセスできるわけではないことを認識したうえで、Google Cloud と Formula E は、このギャップを埋めるために AI を活用しています。また、More than Equal などの組織と提携して、レースにおける多様な人材の育成をサポートする最先端の AI ツールとリソースを提供しています。

AI を活用した Driver Agent

このイニシアチブの中心となるのは、Google の Vertex AI Platform と Google の最先端 AI 基盤モデルである Gemini を活用した、AI ツール「Driver Agent」です。Driver Agent は、レース中に生成される多様なマルチモーダル データを分析し、ドライバーに実用的な分析情報を提供するように設計されています。このデータは、テキスト、表形式データ、テレメトリー グラフやヒートマップの画像といったさまざまな形式で提供され、次のようなパフォーマンスに関する重要な指標が含まれています。

  • ラップタイム

  • 速度

  • ブレーキ

  • 加速

  • G フォース

  • ダウンフォース

  • 緯度と経度

  • ステアリング

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次に、Driver Agent の仕組みをご紹介します。

  • レース中、レーシング シミュレータは車の詳細なログを作成します。このログは Google Cloud に送信され、Google Cloud Storage に保存されます。

  • Pub/Sub を介したイベントベースのトリガーにより Cloud Run サービスが開始され、レースログの事前処理が行われます。処理の内容は次のとおりです。

    • レースの最速ラップを特定する

    • UI に表示するインタラクティブなラップ ヒートマップと、Gemini と共有するレース ヒートマップの静止画像を作成する

    • ログデータから特定の BigQuery テーブルとビューを作成し、クエリを実行して Gemini と共有できるようにする

    • 受信したレースのテーブルデータを、プロの Formula E ドライバーによるレースの比較データと結合し、Gemini がプロのラップと比較して評価できるようにする

    • 加速、ブレーキ、横 G フォースに関する特定のビューを示す一連のインタラクティブなグラフ(UI 用)と静的なグラフ(Gemini 用)を作成する

  • これらのリソースをすべて別の GCS バケットに保存します。

  • アプリケーションは 2 つのサービスにまたがっています。

    • フロントエンド: UI を駆動する。

    • バックエンド: 事前処理済みのデータソースの取得と Gemini に送信されるリクエストおよびレスポンスのオーケストレーションを行う API サーバー。

データを誰もが利用できるものに

Driver Agent は、データドリブンな分析とコーチングを誰もが利用できるようにするうえで重要な役割を果たします。Formula E ドライビング シミュレータに接続し、テキストと音声の両方を通じて、詳細かつ即時のコーチングを提供します。これは、ユーザーのラップから取得した詳細なテレメトリー データ(緯度、経度、速度、ブレーキの使用率、G フォース、ダウンフォースなど)を分析し、同じトラックを走行しているプロのドライバーから取得したデータと比較することで実現します。

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新しい Driver Agent を操作しているチーム。

More than Equal のサポート

Google Cloud は、女性の優れたレーシング人材を発掘し、育成するという More than Equal の使命を積極的にサポートしています。具体的には、次のようなサポートを行っています。

マンチェスター メトロポリタン大学スポーツ研究所と More than Equal の育成ドライバー向けトレーニング施設である Centre of Excellence for Women in Sport において、高度なドライビング シミュレータへのアクセスを提供しています。

More than Equal のドライバー育成プログラムに参加する 5 人の育成ドライバーに、Driver Agent テクノロジーを提供してトレーニングを支援しています。

Google Cloud が行っているこの実際の取り組みを通じて、More than Equal ドライバー開発プログラムにおいて AI エージェント テクノロジーを利用する機会を提供しています。

Formula E とともに影響力を拡大

Google Cloud は、More than Equal のサポートに加えて、Formula E と協力して Driver Agent のさらなる開発と改良に取り組みました。電気自動車モータースポーツの頂点に立つ Formula E は、レースにおける AI アプリケーションを紹介し、発展させるのための貴重なプラットフォームを提供しています。Driver Agent は、Formula E レースのデータを分析してドライバーに分析情報を提供し、次の項目を支援するために使用されています。

  • ラップタイムの改善

  • ブレーキと加速の最適化

  • ダウンフォースの増大

  • クラッシュの回避

Driver Agent は大きな可能性を秘めており、テストではドライバーのラップタイムの短縮に効果を発揮することが実証されています。さらに、Google Cloud と Formula E のコラボレーションにより、高度な AI ツールをより幅広いチームが利用できるようになり、このスポーツの競技環境の均衡化に貢献しています。

「Formula E は常にイノベーションのプラットフォームとして存在しており、Google Cloud と提携して世界クラスのテクノロジーと世界クラスのモータースポーツを組み合わせることで、さらなる可能性を追求できることを嬉しく思います」と、Formula E のスポーツ担当 VP である Beth Paretta 氏は述べています。「これらの最先端のツールを開発し、提供することで、レーサーの才能が資金力ではなくスキルによって決まる未来を創出し、より多様なドライバー、特に女性がこのスポーツの頂点に立てるよう支援していきます。」

まとめ

Formula E と Google Cloud は、AI テクノロジーを活用して世界に良い影響を与えられるよう尽力しています。インクルーシブな環境を促進し、高度なツールへのアクセスを提供する取り組みに注力することで、才能が機会によって制限されない未来の形成に貢献します。

-Google Cloud、UKI(英国およびアイルランド)、グループ プロダクト マーケティング マネージャー Olly Grundy
-Google Cloud、UKI、AI / ML カスタマー エンジニア、Sam Weeks 

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