リージョン ID
REGION_ID
は、アプリの作成時に選択したリージョンに基づいて Google が割り当てる省略形のコードです。一部のリージョン ID は、一般的に使用されている国や州のコードと類似しているように見える場合がありますが、このコードは国または州に対応するものではありません。既存のアプリでは省略可能ですが、まもなく、新しいアプリのすべてにおいて App Engine の URL に REGION_ID.r
を含めることが必須となる予定です。
移行がスムーズに行われるように、リージョン ID を使用するよう App Engine を徐々に更新しています。Google Cloud プロジェクトがまだ更新されていない場合、アプリにリージョン ID が表示されません。ID は既存のアプリでは省略可能なため、リージョン ID が既存のアプリで使用可能になったときに、URL の更新や他の変更を行う必要はありません。
詳しくは、リージョン ID をご覧ください。
アプリケーションをローカルで実行し、App Engine にデプロイしてテストする方法を学びます。
ローカルでの実行
デプロイ前にアプリケーションの機能をテストするには、普段使用している開発ツールを使用して、アプリケーションをローカル環境で実行します。
アプリケーションのデプロイ
gcloud app deploy
コマンドを使用して、アプリケーションを App Engine にデプロイします。このコマンドは、Cloud Build サービスを使用してコンテナ イメージを自動的に作成し、そのイメージを App Engine フレキシブル環境にデプロイします。このコンテナには、ローカルでランタイム イメージに行った変更が含まれます。
プログラムによってアプリをデプロイするには、Admin API を使用します。
始める前に
アプリケーションをデプロイする前に、次のことを確認してください。
Cloud プロジェクトのオーナーが App Engine を有効にしていること。
ユーザー アカウントに必要な権限が割り当てられていることを確認します。
デプロイの成功の確認
更新されたヘルスチェックを有効にすると、デプロイしたアプリケーションが正常なステータスにならない場合、デプロイがロールバックされます。
最初のアプリケーションをフレキシブル環境にデプロイするときに、仮想マシン(VM)や他のインフラストラクチャが設定されていると、遅延が発生することがあります。最初のセットアップ後、ヘルスチェックは、インスタンスが正常で、トラフィックを受信可能な状態であることを確認します。app.yaml ファイルの liveness_check
セクションの initial_delay_sec
フィールドで指定された時間内にアプリケーションが準備完了ステータスに到達しない場合、デプロイは失敗しロールバックされます。
アプリケーションが準備完了になるまで時間がかかる場合があります。たとえば、アプリケーションを初期化するために、大きなファイルのダウンロードやキャッシュのプリロードを行う場合があります。最新のヘルスチェックを使用している場合は、app.yaml
ファイルの readiness_check
セクションで app_start_timeout_sec
構成設定を変更して、この時間を延長できます。
デプロイが失敗した場合は、Cloud Build API がプロジェクトで有効になっていることを確認してください。App Engine は初めてアプリをデプロイする際、この API を自動的に有効にしますが、API を無効にした場合、デプロイが失敗します。
サービスのデプロイ
アプリケーション サービスのバージョンと構成ファイルをデプロイし、App Engine にアプリケーションをデプロイします。
アプリケーションのサービスのバージョンをデプロイするには、サービスの app.yaml
ファイルがあるディレクトリから次のコマンドを実行します。
gcloud app deploy
このコマンドでファイルを指定しないと、現在のディレクトリにある app.yaml
ファイルのみがデプロイされます。デフォルトでは、deploy
コマンドはデプロイするバージョンの一意の ID を生成します。さらに、gcloud
ツールで使用するように構成した Cloud プロジェクトにそのバージョンをデプロイし、すべてのトラフィックを新しいバージョンにルーティングします。
特定のファイルを対象にするか、追加のパラメータを指定すると、コマンドのデフォルトの動作を変更できます。
サービスの他の構成ファイルをデプロイするには、各ファイルを個別に対象にし、デプロイする必要があります。例:
gcloud app deploy cron.yaml gcloud app deploy dispatch.yaml gcloud app deploy index.yaml
独自のバージョン ID を指定するには、
--version
フラグを使用します。トラフィックが新しいバージョンに自動的にルーティングされないようにするには、
--no-promote
フラグを使用します。特定の Cloud プロジェクトにデプロイするには、
--project
フラグを使用します。
たとえば、app.yaml
で定義されているサービスを特定の Cloud プロジェクトにデプロイし、独自のバージョン ID を割り当て、トラフィックが新しいバージョンにルーティングされないようにするには、次のコマンドを実行します。
gcloud app deploy --project PROJECT_ID --version VERSION_ID --no-promote
このコマンドの詳細については、gcloud app deploy
リファレンスをご覧ください。
複数のサービスのデプロイ
アプリケーションを構成する複数のサービスをデプロイまたは更新する場合にも、同じデプロイ コマンドを使用します。
複数のサービスをデプロイするには、各サービスの app.yaml
ファイルを個別にデプロイする必要があります。例:
gcloud app deploy service1/app.yaml
gcloud app deploy service2/app.yaml
1 つのデプロイ コマンドで、複数のファイルを指定できます。
gcloud app deploy service1/app.yaml service2/app.yaml
複数のサービスをデプロイするための要件
最初にアプリケーションのバージョンの 1 つを
default
サービスにデプロイする必要があります。これで、後続のサービスを作成してデプロイできるようになります。各サービスの ID は、対応する
app.yaml
構成ファイルで指定する必要があります。サービス ID を指定するには、各構成ファイルにservice
要素の定義を追加します。この要素の定義が構成ファイル内にないと、デフォルトでバージョンのデプロイ先はdefault
サービスとなります。
ファイルの無視
.gcloudignore
ファイルを使用すると、サービスのデプロイ時に Google Cloud にアップロードしないファイルとディレクトリを指定できます。これは、デプロイ時にアップロードする必要のないビルド アーティファクトやその他のファイルを無視する場合に便利です。
.gcloudignore
ファイルの構文の詳細については、gcloud
リファレンスをご覧ください。
デプロイで使用するコンテナを手動で作成する
Google Cloud Platform 以外でコンテナ イメージをビルドするには、まずイメージをコンテナ イメージのリポジトリにアップロードする必要があります。これで、gcloud app deploy
コマンドを使用してイメージを App Engine にデプロイできるようになります。
たとえば Docker でローカルにコンテナ イメージを作成する場合、このイメージを Google Container Registry に push し、コマンドの --image-url
フラグでイメージの URL を次のように指定できます。
gcloud app deploy --image-url gcr.io/YOUR_PROJECT_ID/YOUR_CONTAINER_IMAGE
自動の継続的デプロイ パイプラインの使用
Cloud Build では、継続的デプロイ パイプラインを使用してデプロイを自動化できます。詳細については、Cloud Build ドキュメントのアーティファクトのデプロイおよびビルドトリガーを使用したビルドの自動化をご覧ください。
PHP の Docker ベースイメージ
PHP カスタム ランタイム アプリケーションをゼロから作成する場合は、Dockerfile で提供されるベースイメージを使用します。
バージョン | Docker コマンド |
---|---|
PHP 5.6 | FROM gcr.io/google-appengine/php56 |
PHP 7.0 | FROM gcr.io/google-appengine/php70 |
PHP 7.1 | FROM gcr.io/google-appengine/php71 |
PHP 7.2 | FROM gcr.io/google-appengine/php72 |
PHP 7.3 | FROM gcr.io/google-appengine/php73 |
ベースイメージのソースコードは https://github.com/GoogleCloudPlatform/php-docker から入手できます。
アプリケーションの表示
アプリケーションを App Engine にデプロイした後、次のコマンドを実行してブラウザを起動できます。https://PROJECT_ID.REGION_ID.r.appspot.com
にアクセスすると、アプリケーションが表示されます。
gcloud app browse
App Engine でのテスト
新しいバージョンを構成してトラフィックを受信する前に、App Engine でテストを行うことができます。たとえば、default
サービスの新しいバージョンをテストする手順は次のとおりです。
新しいバージョンをデプロイして
--no-promote
フラグを指定します。gcloud app deploy --no-promote
次の URL に移動して、新しいバージョンにアクセスします。
https://VERSION_ID-dot-default-dot-PROJECT_ID.REGION_ID.r.appspot.com
これで、新しいバージョンを App Engine ランタイム環境でテストできるようになりました。アプリケーションをデバッグするには、Google Cloud Console のログビューアにログを表示します。詳細については、アプリケーション ログの書き込みをご覧ください。
https://PROJECT_ID.REGION_ID.r.appspot.com
に送信されたリクエストは、トラフィックを受信するように以前に構成したバージョンに引き続きルーティングされます。トラフィックが新しいバージョンに送信されるようにするには、Cloud Console でトラフィックを移行します。
デプロイしたバージョンを選択して、[トラフィックを移行] をクリックします。
同じ手順で他のサービスの新しいバージョンをテストできます。この場合、上記の URL の default
をサービスの名前に置き換えます。
トラブルシューティング
アプリのデプロイ時に発生する可能性のある一般的なエラー メッセージは次のとおりです。
PERMISSION_DENIED: Operation not allowed
The "appengine.applications.create" permission is required.
- 必要な App Engine アプリケーションが Cloud プロジェクトに含まれていない場合、
gcloud app deploy
コマンドがgcloud app create
コマンドを実行しようとしたときに失敗する可能性があります。App Engine アプリケーションの作成に必要な権限は、オーナーのロールを持つアカウントのみに付与されています。 502 Bad Gateway
app.yaml
の構成に誤りがあると、Cloud プロジェクトを起動できないことがあります。詳細なエラー メッセージについては、アプリのログを確認してください。